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661 :名無しさん@お腹いっぱい。 2011/11/18(金) 01:59:30
台所行ったら、妻が煮立った大鍋の前に立ってて、まさに今パスタを投入するところ。
二人分をつかんで、入れる直前にコンロの火を消し、パスタを入れ、少しかき回してからまた火をつけた。
何でそんなことするんだろうと思い、火を消した理由を聞いた。
俺に教わったんだと。
「いつ?」
「んー。XXXに住んでたときだから、結婚前だね」
十数年前かよ。
よくよく聞いてみたら、何となく思い出した。
当時は全然余裕がなくて、鍋なんか小さいやつが一個あるだけ。
その小さい鍋でパスタ茹でると、麺が鍋に入り切らずに鍋のふちに当たるので、その部分だけ熱で固くなって食感が悪くなる。
だから入れる瞬間には火を止めて、パスタが湯で柔らかくなって鍋の中に全部入ってからまた火をつけてた。確かに。
「それ、それから毎回やってんの?」
「うん」
教えたこっちは全く忘れてることを十数年ずっと。しかも、今じゃでかい鍋で茹でてるので、やる必要すらないことをずっと。
「何でそうしろって言ったか覚えてる?」
「理由は言わなかったよ。でもわざわざ教えてくれるんだから、そうした方が美味しくなるんだろうなって思った」
思わず、うーんってうなった。行動そのものは無意味で、愚かだとさえ思えるけども、人間の偉さって実はこういう事なんじゃないかと。
何気なく言われた一言を、疑問にも思わず十数年、素直にねえ。
結婚してよかったと思った。
変な話だけどさ。

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