土. 11月 23rd, 2024
892 :キチママちゃん 2016/05/15(日) 22:12:35 ID:yrm
大学4年の後は卒業を待つだけという時に
金に困らない生活を手に入れた
その代わりに家族を失った
俺は壊れた
就職が決まっていた会社には仕事ができる状態じゃないと言い頭を下げた
怒られるかと思ったが同情された
面倒な手続きが終わり俺だけの生活が始まった
生活は退屈
糸がいつ切れてもおかしくない操り人形がだらんと垂れてる状態
金はあってもやる事がない
壊れた感情は取り戻せない
趣味だった事が楽しくなくなった
出勤する人を見ながら、「毎日辛いけどやる事があって幸せだな」と思う毎日
様子を見に親戚や友人が来るが会話が続かない
そんな日々が続いた
なんとなくこのままじゃいけないと思うようになった
とりあえず、単車を目的もなく走らせるようになった

適当なPAでツーリング連中を避けて駐輪し、隅でタバコ吹かしながらボーッと景色を見る
そんな習慣がつくようになった
最終的には地元の近くのPAをよく訪れるようになった

ある日、いつものようにボーッとしてたら
「何か見えるんですか?」と声をかけられた
見知らぬ女性だった
俺は「特になにも」と答えた
女性は「毎回見かけるたびに隅っこで同じ方向を見てるから、気になって」
「いつも一人ですけど、ツーリング仲間は?」
「女ライダーが珍しいのか、よく話しかけられるけど鬱陶しいんですよねぇ」
「普段なにしてるんですか?ご職業は?」など
聞いてもないのに喋り倒し
根掘り葉掘り聞いてくる
作業的な会話はしていたが
久しく人と会話をしてなかったため
返答がうまく出来なかった
だが、何がきっかけだったのか
何故か彼女に俺は現状の生活、心境を語っていた
誰でもよかったんだろう
ただ捌け口が欲しかったんだと思う
俺は泣いていた
何故か彼女も泣いていた
少しすると彼女は「この後、予定ありますか?」と聞いてきた
こんな状態の俺だ予定などない「ない」と答えた
それを聞き彼女は「じゃあ一緒に回って食事に行きませんか?」と提案
俺は「そちらが良いなら」と答えた
その後、彼女について行く形で走った
日も落ち始め、近くのファミレスで食事をした
食事中まだ彼女の名前を聞いていなかった事を思い出し
互いに自己紹介と他愛もない世間話をした
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