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463 :ラブラドール速報 2018/01/09(火) 10:06:53 ID:ew0
私が通ってた小学校・中学校は図書室が無かった
周りにその話をすると、そんな学校あり得ないと嘘だと思われるんだけど、本当に無かった
村唯一の小さな図書館も家から8キロ離れていて、しかも歩道どころか舗装されてない道を通っていかなくちゃいけなくて
バス代も往復で1000円近くかかった
学生の頃は貧しくお小遣いもなく、共働きの親にお願いしなくては通えなかったし、貸出の期限を守れる保証がなくて、気軽に借りられなかった
だから、家にある両親の本や、幼い頃に親戚が買い与えてくれた日本昔話、グリム童話、アンデルセン童話、イソップ物語なんかを何度も何度も暗唱できるくらい繰り返し読んでいた
そんな私の本に纏わる思い出

小学校の頃、新しく赴任してきた担任が「本を読めないなんて可愛そうだ」ということで、クラスの子たちに「おばけになったアサガオのたね」を貸してくれた
名簿順で読んだら次の人に回すのだけど、私は一番最後だった
先生は一人一週間の計算だったみたいだけど、春から始まり、季節がめぐり、冬になって指折り数えても、本が回ってくることがなかった
私は母に「こんなのまわってくるわけない!」と愚痴を話していて、母はある日、その本を本屋で買ってきてくれた
私は待ちきれずに学校の休み時間もその本を読み続けた
久々の本が嬉しくて、二回、三回と読んだと思う
三学期のはじめ、先生の本が行方不明になっていたことが判明した
誰のところで無くなったのかわからなくて、先生は「人から借りたものを無くすのは人として最低なことだ」と説教を始めた
すると何人かが「名簿順が最後なのに私子さんがその本を読んでいました」と発言した
とんでもないことが起こったと思った
私が本を好きなことはクラスで有名だった
先生の本を待ち遠しく思っていたことも知っていた人は多い
待ちきれずに私が盗んだんだと教室の空気はすでに結論が決まりきっていた
私は泣いて否定したが、先生は私をかばってはくれなかった
私から帯付きの、とてもきれいな状態の本を取り上げ、「恥ずかしいことをした」と静かに告げた
その時の私はまだ、本の後ろに重版を証明する術があることを知らなかった
私は盗みという卑劣な犯罪者に成り下がってしまったことを母にも打ち明けられなかった
それから私はクラスでいじめの対象となった
一クラスしかない小さな小学校で、その後立場が変わることはなく
誰かが物を失うたびに私のせいにされた
数年後、私の妹がその担任に当たったとき、やはり「おばけになったアサガオのたね」を貸し出していたが
その時、背表紙にマジックで私の名前が書いてあったのを上から塗りつぶしてあるのを見て、妹だけは何かを察したようだった
妹に人生の汚点を知られてしまった気分だった

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