俺の住んでいる市には教育・学校関係者が天下りするための
無駄な施設がたくさんある。その施設にも天下り用の無駄な役職があり、やつらは毎日毎日仕事もせずに遊んでばかりいる。
　ある年。教育関係で退職した人が例年より多かったとかで、天下り用施設への再就職が叶わなかった元校長という男が、
俺の職場にやってきた。うちの偉い人に、どうやら伝手があったようだ。
　
　当然のごとく役職。とてもじゃないが遊んでなんかいられない職場にも関わらず、一切仕事はせず、毎日毎日、ソリティアとネットサーフィン。
そのくせ、元からいる社員にはえらそうにするので、みんな辟易していた。俺はこの人の直属の部下になってしまった。家まで毎日送り迎えさせられては、
無理やり聞き出された学歴や家族構成なんかをバカにされる毎日。

　ある時、この元校長から呼び出された。なにごとだろうと行ってみると、パソコンがフリーズしていた。
これをなんとかしろということなのだが、フリーズしたパソコンの画面は思いっきりヱロサイト。
しかも、教育に関わっているやつが見てたらダメな類のやつ。さすがに焦っている元校長。

元校長「これを今すぐ直せ。そして口をつぐめ。墓場まで持って行け。言ったらひどいぞ。おまえは●●市に住んでたな。
ということは息子もそこの学校だろ。僕はあそこの教育委員会や校長連中に顔が利く。言ってる意味わかるやろ」

俺「わかんないです」

元校長「頭おかしいの？　おまえの子供が悲惨な目にあうってことだよ！！」

俺「そんな」


　元校長に脅されるまま、パソコンを直す俺。隙を見つけては、気付かれないように、
ヱロサイトを映す元校長パソコンを携帯で撮影。胸ポケットには、こんなこともあろうかと仕込んでおいた
ICレコーダー。

　その後、すぐさま写真とICレコーダーを偉い人に献上。開かれる、元校長の処遇を巡る会議。

元校長「たしかにアダル㋣サイトは見ていたが、僕は有能な人間だ。エリートだ。仕事もできる。
置いてくれても損はないと思います。脅しに関しても今は反省しています」

偉い人「いや君は有能じゃないよ」

元校長「なんでですか」

偉い人「俺クンの子供云々っていったけど。俺クンは独身で子供いないんだよ。
直属の部下の家族構成も把握できていない人の、どこが有能なの？」

元校長「……え？」

　元校長が家族構成をしつこく聞いてきた時、こんなこともあろうかと考えていた架空の設定で伝えてたことが
実を結んだ瞬間だった。その後、元校長は自己都合で退職。教育関係の伝手で、その手の施設に再就職を求めたが、
偉い人が先手をうち、元校長のみていたアダル㋣サイトの内容を伝える等して、再就職をぶち壊したらしい。