金. 11月 22nd, 2024
286 :殿堂 2016/09/11(日) 01:30:38 ID:ZDY
兄嫁が最小限の身の回りの物とダンボール一箱を持って嫁いできたのが半年前
物に執着せず、贅沢も言わず、仕事道具くらいしか散らかさなかった兄嫁が
皆が寝静まった時間に何かが写ったパソコンを前にして何かを嘆いて必タヒに兄に縋っている姿を扉の隙間から見てしまった
兄嫁「あぁ、どうしてもダメかしら」
兄「・・・いや、私に言われても」
兄嫁「ダメかしら、やっぱりダメなのかしら」
兄「私からはなんとも・・・」
兄嫁「決して心からいいよとは言ってくれないのね」
兄「無責任には、言えないかなぁ」
座って本を読む兄の膝に縋るようにして兄嫁が嘆いていた
普段あんなに質素な兄嫁があれほど嘆願するような贅沢を!?
それから数日、兄嫁があれほど欲しがるものが気になって仕方なく、先ほど兄嫁が先に寝静まったのを見計らい兄に聞いてみた
「兄嫁さんは何をそんなに欲しがっていたんです?」
兄はきょとんとして暫く何のことだからわからないようだった
仕方なく数日前、こっそり見てしまったことを話したところ
兄「あぁ・・・仕事で嫌なクレームにあってね、ストレス発散に本が読みたいのだと」
本?思わず聞き返したら兄がこちらの疑問を先読みして答えてくれた
兄「あの人はね、本が好きで好きで読み始めると寝食も忘れてしまうほどでね
家のことを二の次にしてしまうからと我慢しているんだよ
本は高いしね・・・かといって古本を買わせると部屋が本で埋まってしまうんだよ」
そう言って兄が兄嫁のダンボールを開いてくれた
中には本しか詰まっていなかった
兄「兄嫁が一人暮らしの頃は小説だけでこのダンボール5個はあってね、今は嫁に来た身だからと減らしてこのダンボールに入るだけの本しか手元に置かないと決めているから」
そんな兄嫁が読みたい小説は外伝など含め22巻から成る架空歴史ファンタジーだそうだ
兄「前はグイン・サーガを読みたいと嘆かれてね
良いと言ってあげたいんだけど彼女が部屋から出てこなくなるのは困るし、現実問題床が抜けてしまうよ」
もともと兄と兄嫁は読書の趣味が通じて知り合ったので、2人がお付き合いしている頃に何度か兄の本を求めて訪ねてくる姿を見たことがあった
兄の部屋に案内された兄嫁は朝の10時から夜の10時までトイレに立つ以外会話もかわさず本を読み耽っていた
本を好きなだけ買ってしまうとあれが日常になってしまう
そう考えると兄と兄嫁の心配もわかるようで、見ているこっちがヤキモキしてしまう
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