高校の頃のことだけどさ。
俺の腹違いの姉が俺の家に来たのだよ
姉と言っても、年齢差は数か月と、同い年だけどさ
親父の元恋人だった母親が病気になったので育てられないってことらしい
ところが我が家はすでに親父がﾀﾋんでいてお袋が一家の大黒柱になっている
幸いなことにお袋はシステムエンジニアとかして金は充分に稼いでいるから、
娘一人さらに育てるくらい金銭面では問題はなかったらしいが
それにしてもよく引き取る気になったものだ
お袋の忄生格からして良心とか哀れみとか、そんな事だけとは思えないが
後で聞いてみたら、どうもﾀﾋんだ親父との間でもしもの時は面倒をみてやってくれと約束があったので
お袋なりにその姉に思うところもあったらしい
だけど、この状況を一番に嫌がったのはその異母姉だな
彼女は自分が愛人の子だって事になることや、いわば本妻の情けで引き取られたのが耐えられなかったようだ
俺も何とか仲良くやって行こうと思ったけど。
彼女の方がどうしても俺を嫌って距離を置こうとするし
俺の妹は露骨に突然に来た異母姉を嫌っていた。
言い訳になるけど、そんな中で俺なりに苦心したよ。
だけどさ、ある日、限界にきてしまった。
異母姉が些細な妹との喧嘩で、俺の親父とお袋の関係なんて自分の母親には関係ないとか
そんなことを言い出した
挙句、家を出てからでも、体を売ってでも生きられるとな
そんな禁句ワードを連発したからだ
あまりの事に気づいたらグーで毆り飛ばしていた
異母姉は俺を睨みつけてから家を出て行ったよ。
その後、施設に行ったらしい
成績が優秀だったから、家にいれば大学にでも行けたのだろうが
施設なら当時、18歳までしか暮らせない、金のかかる私立の高校にも通えないから
高校中退の立場で就職したらしい
あの時のことを思い出せば、もう少し我慢すれば良かったと胸が痛くなる半面
異母姉自身が選んだ事だと切り捨てるしかないとも思ったりする
確かに妹が異母姉を嫌っていたのは事実だが、俺や母は受け入れようとしたのだしな