957: 名無しさん@おーぷん 21/03/02(火)19:03:47 ID:4d.t2.L1
前職の同僚から電話があって思い出したので書く。
その会社に勤めていた頃、1人強烈な女忄生社員がいた。Aとする。
他の社員の私物にメチャクチャ詳しくて、すぐに使ってみたがるという面倒くさいタイプ。
なんというか、Aの外見の印象は森ガール?みたいなちっちゃくて可愛くて、なんかホワッとしてそうなんだけど、貸して貸してがもんのすごい。
私なんか他人の変化に気が付かない方だから、ちょっとそのアンテナ感度分けてほしいくらい。入口で畳んだ傘とか、髪でほぼ隠れてるピアスとかも気付く。
数百円の電卓でさえ新調したらなんやかや理由をつけて「貸して」ってくる。
それも、タイミングを見計らってるとしか思えなくて、使い終わって机にしまおうとした瞬間とかに声をかけられる。手に持ってるのをそのまま渡しやすいタイミングっていうのかな、とにかく「あ、あぁ……どうぞ……」ってなりやすい間合いを絶妙に狙ってくる。
鞄とか上着とか、ちょっと持たせて羽織らせてはまだいい。やばいのは文房具系。
執着の度合いがすごくて、忙しいときにペンとか貸すと返ってこない時がある。
「でもぉ~、いつまでって言われませんでしたし~、まだ使わせてもらってますしぃ~」とか言って、ペンを握りしめて駄々っ子する。
貸した側がペン1本で大事にするのも……って引き下がるしかない。
だけどAが気に入ってしまうとその日のうちには返ってこなくて、数日はじっくり使われちゃう。
ある時、私は主人に万年筆をプレゼントして貰った。
恩師数人と文通みたいなことをしているので、その時にでもって。どこかで一目惚れしたらしい、ちょっと素敵なやつをくれた。
私は浮かれてその万年筆を使って手紙を書いた後、浮かれすぎて家の机のペン立てじゃなく、仕事で使う筆箱にしまった。
仕事用の筆箱に切手シールを入れていて、机の上に出したのがいけなかった。
翌日、職場のデスクで筆箱を開けたら当然万年筆が入ってる。
あっ!と思った時にはAに見つかってた。
「(私)さん、素敵なペンですね~」
って、斜め後ろから言われてゾッとした。
「万年筆ですか~?憧れます~。ちょっと書いてみたいなぁ~」
って、ホワホワした感じで言ってくるんだけど、もう心境的にはホラー。
「ごめんね!これ、主人からのプレゼントだから」
って筆箱閉じたんだけど、Aは納得いかない!って感じで絡みついてくる。
「えぇ~!?プレゼント!じゃあイイヤツなんですね~?そんな素敵なものなら、やっぱり書き心地も違うんでしょうね~?」
みたいな感じで、離れようとしない。
間違えて持ってきた私がいけないんだけど、周りもめんどくさいのか、ちょっとだけ貸してあげれば~みたいな雰囲気になってきて、でも絶対貸したくなくて……って思ったら、急に子供の頃の記憶が蘇ってきた。
消しゴムのカバーの下に好きな子の名前を書いて、誰にも気付かれず、一人で使い切ったら両思いになれるってやつ。
「ごめんね、おまじないしてるからダメなの!」
我ながら、馬鹿みたいな言い訳だったんだけど、アラサーの女が必タヒで絞り出した『おまじない』の単語にAがちょっと引いた感じがした。
「おまじない……ですか?」
「うん、ごめんね、誰にも貸せないの」
周りもこっちをうかがってる感じがして、謎の緊張が走ってた。
「どうしても……ですか?」
「うん。叶わなかったら、ぜったいAさん許せなくなっちゃうから」
まだ私も1回しか使ってない万年筆を、Aが数日触り倒して手垢テカテカで帰ってきたりしたら、本気で許せないと思ったらめちゃくちゃキッパリ言えた。
「それなら……仕方ないですね……」
と、Aがはじめて借りるのを諦めた。
ちょっと周りがどよめいてた。
それ以来、Aに本当に貸したくない物を貸してっておねだりされた人が『おまじない』を盾にするようになった。
AもAで『おまじない』を盾にされるとなぜか強く出られない。
私は主人の転勤でその後わりとすぐ退職してしまったのだけど、どうやら『おまじない』の伝統は今も受け継がれているらしい。
あのとき『おまじない』と口走った私と、あれだけ執念深いのに『おまじない』には弱いAの神経わからん話。
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その会社に勤めていた頃、1人強烈な女忄生社員がいた。Aとする。
他の社員の私物にメチャクチャ詳しくて、すぐに使ってみたがるという面倒くさいタイプ。
なんというか、Aの外見の印象は森ガール?みたいなちっちゃくて可愛くて、なんかホワッとしてそうなんだけど、貸して貸してがもんのすごい。
私なんか他人の変化に気が付かない方だから、ちょっとそのアンテナ感度分けてほしいくらい。入口で畳んだ傘とか、髪でほぼ隠れてるピアスとかも気付く。
数百円の電卓でさえ新調したらなんやかや理由をつけて「貸して」ってくる。
それも、タイミングを見計らってるとしか思えなくて、使い終わって机にしまおうとした瞬間とかに声をかけられる。手に持ってるのをそのまま渡しやすいタイミングっていうのかな、とにかく「あ、あぁ……どうぞ……」ってなりやすい間合いを絶妙に狙ってくる。
鞄とか上着とか、ちょっと持たせて羽織らせてはまだいい。やばいのは文房具系。
執着の度合いがすごくて、忙しいときにペンとか貸すと返ってこない時がある。
「でもぉ~、いつまでって言われませんでしたし~、まだ使わせてもらってますしぃ~」とか言って、ペンを握りしめて駄々っ子する。
貸した側がペン1本で大事にするのも……って引き下がるしかない。
だけどAが気に入ってしまうとその日のうちには返ってこなくて、数日はじっくり使われちゃう。
ある時、私は主人に万年筆をプレゼントして貰った。
恩師数人と文通みたいなことをしているので、その時にでもって。どこかで一目惚れしたらしい、ちょっと素敵なやつをくれた。
私は浮かれてその万年筆を使って手紙を書いた後、浮かれすぎて家の机のペン立てじゃなく、仕事で使う筆箱にしまった。
仕事用の筆箱に切手シールを入れていて、机の上に出したのがいけなかった。
翌日、職場のデスクで筆箱を開けたら当然万年筆が入ってる。
あっ!と思った時にはAに見つかってた。
「(私)さん、素敵なペンですね~」
って、斜め後ろから言われてゾッとした。
「万年筆ですか~?憧れます~。ちょっと書いてみたいなぁ~」
って、ホワホワした感じで言ってくるんだけど、もう心境的にはホラー。
「ごめんね!これ、主人からのプレゼントだから」
って筆箱閉じたんだけど、Aは納得いかない!って感じで絡みついてくる。
「えぇ~!?プレゼント!じゃあイイヤツなんですね~?そんな素敵なものなら、やっぱり書き心地も違うんでしょうね~?」
みたいな感じで、離れようとしない。
間違えて持ってきた私がいけないんだけど、周りもめんどくさいのか、ちょっとだけ貸してあげれば~みたいな雰囲気になってきて、でも絶対貸したくなくて……って思ったら、急に子供の頃の記憶が蘇ってきた。
消しゴムのカバーの下に好きな子の名前を書いて、誰にも気付かれず、一人で使い切ったら両思いになれるってやつ。
「ごめんね、おまじないしてるからダメなの!」
我ながら、馬鹿みたいな言い訳だったんだけど、アラサーの女が必タヒで絞り出した『おまじない』の単語にAがちょっと引いた感じがした。
「おまじない……ですか?」
「うん、ごめんね、誰にも貸せないの」
周りもこっちをうかがってる感じがして、謎の緊張が走ってた。
「どうしても……ですか?」
「うん。叶わなかったら、ぜったいAさん許せなくなっちゃうから」
まだ私も1回しか使ってない万年筆を、Aが数日触り倒して手垢テカテカで帰ってきたりしたら、本気で許せないと思ったらめちゃくちゃキッパリ言えた。
「それなら……仕方ないですね……」
と、Aがはじめて借りるのを諦めた。
ちょっと周りがどよめいてた。
それ以来、Aに本当に貸したくない物を貸してっておねだりされた人が『おまじない』を盾にするようになった。
AもAで『おまじない』を盾にされるとなぜか強く出られない。
私は主人の転勤でその後わりとすぐ退職してしまったのだけど、どうやら『おまじない』の伝統は今も受け継がれているらしい。
あのとき『おまじない』と口走った私と、あれだけ執念深いのに『おまじない』には弱いAの神経わからん話。