金. 11月 22nd, 2024


531 :拝啓、鬼女様 2016/01/26(火) 15:42:11 ID:aUp
もう10年近く前の話になるけど不覚にも実の祖父に惚れそうになったよ
我が家の母親はやたらと姉に厳しかった
傍から見ても姉はそれなりに勉強して真面目に中学生やってたのに、母は学業から日常生活に至るまで姉に過剰な目標を課していた
家にはいつも母の怒鳴り声と物に当たる音が響いていた。自分も巻き添え喰らって宿題を破られて次の日先生に叱られたことがある
門限や娯楽も姉だけ妙に厳しかったな
ある日、いつもの如く母の発狂に付き合っていた姉が憔悴しきった顔で部屋に戻ってきた
「あいつは私に当り散らしてストレス解消してるんだ。私がいなくなったらどうなるか楽しみだわ」
と吐き捨てた姉に
「なら一度出ていってみれば?手頃な復讐にもなるし、上手く事が運べば現状を打開できるかもよ」
と提案してみた
姉は本当に出ていった。僅かなお小遣いと服をリュックに詰めて窓から飛び出していった
姉には申し訳ないけど何が起こるかちょっとだけ楽しみで、ドキドキしながら母には黙っていた
風呂に入ってさぁ寝ようかというタイミングで祖父母から電話がかかってきた。姉を保護してるから来い、とのこと。
母にしてみれば寝耳に水だよね。祖父母の家は徒歩20分程度だったから、夜中だったけど喚く母を宥めて祖父母の家に向かった。
祖父母の家には俯いて座る母と、いつもだったら寝ている時間なのに起きている祖父母がいた。
畦道に座り込んでいた姉に近所の役員が声を掛けて家に送り届けようとして、家に帰りたくなかった姉は祖父母の家の住所を教えたらしい
大体の事情は姉から聞いていたようで、祖父は姉の発言の真偽を母に尋ね始めた
全て本当だったけど、次第に母の声は小さくなって発言には言い訳が混じり始めた。
「恵まれている状況を当たり前だと思ったら人は堕落する!」
と母が言い訳すると、祖父は台所に行った
戻ってきた祖父は包丁を持っていた。状況を呑み込めない我々が茫然としていると、祖父は包丁を母に突き付けた
誰もその場から動こうとしなかった。今から考えれば自分も大概だったと思う。まぁタヒんでもいいかなとか考えていた。
悲鳴をあげた母に祖父が淡々と諭したことが、今も心に深く残っている
うろ覚えで悪いけど
「夫が妻を毆るもの、親が子供を餓タヒさせるのも、嫁を義理の両親が酷使するのも、強○された女が責められるのも、昔は仕方のないことだった
今は違う。稼ぐ夫に負い目を感じたり、親の顔色を窺って怯えて過ごしたり、毆らないでくれてありがとうございます、酷い目に遭わさないでくれてありがとうございます、と義理の両親に媚びたり男にへつらう必要もない
人が人である限り、誰もが当たり前に穏やかな生活と幸せな人生が保障される
それは決して甘やかしではない。人として当然の権利だ
俺たちは戦後何十年もかけて、そういう幸せな国を作ってきたつもりだ
頼むからこれからもそういう国で在り続けてくれ」
とりあえず震えて萎縮した母と自分を祖母が車で送ってくれた。姉はその日は祖父母の家で泊まった
それから母は随分と大人しくなった。
客観的に見ればかなり異常な出来事だけど、自分の中では未だに祖父は勇者
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