422 :名無しさん@おーぷん 2018/02/15(木) 14:25:41 ID:4Ea
母の味の話。
私の母は家事が苦手な人で、家のなかはぐちゃぐちゃ、散財はするし、料理はあまりできなかった。すぐ怒るしすぐ泣くし、理想のお母さんではなかった。でも、私もお姉ちゃんも妹も母のことが大好きだった。
私が高校生の時、母がパート中に倒れた。あれよあれよという間に入院、脳にグレープフルーツぐらいの腫瘍が見つかった。父と母が結婚する前から出来ていたようだ。手術をして腫瘍を取ったら、怒りっぽかった母は優しくなった。
あとで調べたら、脳に腫瘍ができていることで、忄生格が変わってしまうこともあるらしい。たぶん母の本来の忄生格はこっちだったんだろう。
手術が終わっても母は入院していた。術後の経過を見るためだと思っていたら、全身に腫瘍が転移してしまった。ほどなくして母は亡くなって、私は実感がないまま受験、上京してひとりぐらしをはじめた。
自炊はそこそこしていたけれど、就活とゼミに疲れきってしまって、ご飯を炊くのも億劫になってしまったある日、スーパーで炊飯器に入れるだけの炊き込みご飯の元を見つけた。なんとなく買って、その日の晩御飯にした。
炊き上がっていくごはんの匂いが、すごく懐かしい。家事が苦手だったお母さんが、よく買っていた炊き込みご飯の元だった。
友達の、お母さんが作ってくれたお弁当がうらやましかった。晩御飯はいらないよ、とお母さんに連絡している彼氏がタヒぬほどうらやましかった。
泣きながら食べた。お母さんの味。もう二度と食べられることはないと思っていたけれど、こんなところで出会えた。
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私の母は家事が苦手な人で、家のなかはぐちゃぐちゃ、散財はするし、料理はあまりできなかった。すぐ怒るしすぐ泣くし、理想のお母さんではなかった。でも、私もお姉ちゃんも妹も母のことが大好きだった。
私が高校生の時、母がパート中に倒れた。あれよあれよという間に入院、脳にグレープフルーツぐらいの腫瘍が見つかった。父と母が結婚する前から出来ていたようだ。手術をして腫瘍を取ったら、怒りっぽかった母は優しくなった。
あとで調べたら、脳に腫瘍ができていることで、忄生格が変わってしまうこともあるらしい。たぶん母の本来の忄生格はこっちだったんだろう。
手術が終わっても母は入院していた。術後の経過を見るためだと思っていたら、全身に腫瘍が転移してしまった。ほどなくして母は亡くなって、私は実感がないまま受験、上京してひとりぐらしをはじめた。
自炊はそこそこしていたけれど、就活とゼミに疲れきってしまって、ご飯を炊くのも億劫になってしまったある日、スーパーで炊飯器に入れるだけの炊き込みご飯の元を見つけた。なんとなく買って、その日の晩御飯にした。
炊き上がっていくごはんの匂いが、すごく懐かしい。家事が苦手だったお母さんが、よく買っていた炊き込みご飯の元だった。
友達の、お母さんが作ってくれたお弁当がうらやましかった。晩御飯はいらないよ、とお母さんに連絡している彼氏がタヒぬほどうらやましかった。
泣きながら食べた。お母さんの味。もう二度と食べられることはないと思っていたけれど、こんなところで出会えた。