金. 11月 22nd, 2024
727: 修羅場まとめの殿堂 2016/02/16(火)10:59:20 ID:evW
小5の初夏、学校からの帰り道で、突然声をかけられた。
40歳前とおぼしき、身なりの綺麗な女忄生だった。
道にでも迷ったかと思っていると、その女忄生は花柄の上等そうな封筒を差し出した。
そして
「あなたと同じ学校の山崎(女子生徒)の母です。クラスが違うから知らないかもしれないけどね。
実は娘が、可愛くて成績の良いあなたとお友達になりたいと言ってお手紙を書いたんだけど、
恥ずかしくて自分じゃ渡せないからお母さんが渡してって頼まれてね。
突然ごめんなさいね。一生懸命に書いたから、絶対に読んでね」
と説明を受けた。
今思えば怪しさしかないのだが、
私のことを"可愛くて成績が良い"などと思い、密かに憧れてくれている女子がいる、という意外忄生と嬉しさに浮かれて、
何も疑わずその便箋を受け取ると、帰宅するまで待てずに近所の公園で開封して読み始めた。

しかし、内容はあの女忄生の説明とは全く異なるものだった。
10枚にわたる便箋には、子どもにも読みやすい筆致で、私の両親の結婚に関する事実がびっしりと記されていた。

私の父は誰でも知っている大企業で働いていた。
そのときすでに父は、高校生の頃から付き合っていたある女忄生と結婚していた。
本妻が妊娠したころ、父は勤め先の契約社員の6つ年下の女忄生と不倫をはじめた。
本妻がひどいつわりで苦しんで入院している最中、父は愛人と旅行していた。
不倫に気がついた本妻が責め立てると、父は開き直り「金はいくらでもくれてやるから離婚してくれ」とだけ言い残し、家を出た。
謝罪は「すまん」の一言だけだった。
絶望のなか出産した本妻が、1度でいいからあなたの子の顔を見てと手紙を書いても、父は訪ねてくるどころか、返事すら出さなかった。
父のした仕打ちを父の実家に抗議しても「貯金を全部やったんだからもういいだろう」と無碍にされた。
本妻は結婚式にも出席した父の上司に電話を入れ、事の顛末をぶちまけた。
すると愛人は途中で契約を切られ、父は閑職にまわされたが、その後、父もその会社を退職し、愛人と結婚、転職した。
そして生まれたのがこの私だということだった。
手紙の結び文句は「あなた方の不幸を心から願ってやまない人間がいることを、タヒぬまで忘れないで下さいね」だった。

読み終えた私は呆然として、しばらくは動けなかった。
手が震えていた。

今思えば、元本妻さんは、会社をクビになって不幸になるはずだった父が閑職時代に英語を習得し(元々潰しが利くニッチな理系資格も持っていた)、
外資系に転職することで以前よりも裕福な暮らしをしていること等が気に食わなかったのだろうし、それは当然の感情だと思う。
そして子どもが最も敏感と思われる時期を狙って手紙を渡したのだろう。
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