土. 11月 23rd, 2024

106 :修羅場な話 2021/05/20(木) 23:12:14 ID:Wr.ji.L1
母が統合失調症になった。
私が5歳の頃からずっとおかしかった。

どんな風だったかというと、

・近所中の人が監視してると思い込み、怒鳴りに行く 
・盗聴されてるからと外出の用など私に伝えるときはすべて筆談
・私の友達のお母さんが父とデキてると思いこむ(そんなことはない。アリバイがあった)
・母から10メートルは離れてるであろう宝くじ売り場のお姉さんが少し頭を下げた(多分何かの作業だった)のを見た母が、そのお姉さんにつっかかって「主人と浮氣してるわね」「娘に手を出したら許さない」「答えなさい」と怒鳴り、父が引き離す


まあ他にも色々。

ずっとそうだった。父からは私が小2の頃、「私子が生まれてからどんどんおかしくなっていった」と言われて、私のせいだとずっと悩んでいた。
母方の親戚からも、「私子ちゃんが責任を取らなくちゃね」などと言われた。

ずっと辛かった。

高校生になった時、友達に全て話した。友達はずっと聞いて、

「攻撃対象に私子だけは入ってない。お母さんは私子のこと、大好きなんだ。私子もわかってるから辛いんじゃない?」

と言ってくれた。

私はそこでハッとした。

確かに「私が母に嫌がらせした、悪口言った」という被害妄想は一切聞いたことがない。
私は常に守らなければならない対象になっていた。
母の中では監視され、バカにされ、盗聴されているという現実がある。
筆談したのも、「娘に手を出したら許さない」と宝くじ売り場のお姉さんに叫んだのも、その現実の中で必タヒにもがいていたから。

荒唐無稽な妄想だと呆れたり怒ったりしていたけれど、母にとっては本気で私を守ろうとしてのこと。

私が自分のことばっかり考えて、母を恥ずかしいと思っていたのがすまなくなった。

とはいえ父が病院に連れて行こうにも泣き叫んで拒否していて、どうしようもない。母にとっては現実だから仕方ない。

役所も警察も管轄外だし頼れない。薬を飲んでほしくても、病院に患者が行かないといけない。

私なりに悩みに悩んで、私も母の真似をした。私が狂ってるから病院に行かせようって思うかなという安直な発想。

母に「今私の悪口言ったな!」「お前がずーっと監視してるのわかってるんだ!」「見てよ!排水口の中に人がいる!!」と怒鳴りつけた。昔母が言ってたことを真似しただけ。

演技だけど胃が痛かった。父には先に演技だと根回ししといた。

母がオロオロして、「どうしたの?」「辛いことがあったの?」「なんでそんなこと言うの?」「お母さんは私子が大切なんだよ、今までずっとみんなから監視されてたから一生懸命守ってきたんだよ。本当だよ」と泣いたりした。

そして日にちが経つと、父の提案で母が一日中録音し始めた。
家族3人の会議では、無音なのに「クソー!また悪口言ったな!うるさいんだよーっ!!」と叫ぶ私の声の録音を何度も流した。

因みに母も同じようなこと言ってるんだけどそこはうまいこと父が飛ばしてくれたし、私が狂ったフリをしたら少し症状が寛解した。

父「家族の為にも病院に行こう。こんな薬があるんだって」
母「私子、見てもらおうよ。お母さんも行くよ」

で、私のために病院に行くことに。

私は勉強の合間、今までの経緯を思いつく限りパソコンでまとめ、医師にはそれを渡して「どうしても母を見せたくて統合失調症のフリをした」と説明。 

怒る母に医師は懸命に母がおかしいんだと説明してくれた。

「お願い、薬を飲んで。お母さん疲れたよね。ずっと辛かったでしょ。きっとこれ飲んだら、もう誰の悪口も聞こえなくなるよ」「ひと目を気にせず出かけられるんだよ。家族みんなで一緒に買い物行こうよ」と父と私から説得した。

「お母さんが治らなかったら私がおかしいんだよ。そしたら私がその薬を飲む。飲んで」と泣いて頼んだら、母がようやく薬を飲んでくれた。

一年後にはかなり寛解した。
普通の母に、17歳の時にようやく出会えた。

完治って感じではないし、時々幻聴が聞こえてはいるようだけど、母は薬を飲んでくれる。
すごく穏やかになった。なるほど父が惚れるわけだと思った。

自分のことしか考えてなかったとショックを受けた時と、狂ったフリをして毎日なにもないところに怒鳴ったり物投げ飛ばしたりを半年以上毎日やるのにかなり疲れて、自分も頭おかしくなりそうだったのが修羅場。

父も激務の中よく耐えてくれた。母がどれだけおかしくなっても大事にしていたし、悪口なんか言わなかったし、浮氣もしなかった。

「私がおかしいから病院に連れてって作戦」が功を奏したので今はホッとしてる。


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